エゴロジー (12)

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4 松本 智津夫 2016/04/20(水) 21:19:24 ID:.nHpYYpo

地下の息苦しい牢獄に俺はいつから閉じ込められていただろうか。
俺には超越神力がある。それは本当だ。だが、この能力は空中浮遊やテレパシー、ましてや他人を容易にポアできるようなものではない。
私の超越神力、つまり超能力は金属を装備している人間に対し幻覚を見せることができるというものだ。
今までこの能力を使い教徒を束ねてきた。が、この能力を知ったヤツらは金属を持たずに本部を強襲してきた。あっけなく捕まって今じゃプラスチック製の牢屋の中だが、ある日番人がこう命令してきた。
「出ろ、面会の時間だ」 政治や軍事の上位者と何度か面会したことはあったが、俺の能力に関する話ばかりだった。
今回の面会も同じような内容のものだったが、違う内容と言えば違う話だ。
「ある人物を殺してくれないか?」 
~~会幹部と書かれたネームカードを首に下げた男が頼んでくる。こいつも金属は身につけていない。
「なんで俺が」 「お前じゃないと殺せないからだ。」
俺じゃないと殺せない?そいつは人間なんだろうな?
「殺してくれれば事情聴取中という名目で無期懲役くらいの刑にできる。このままいけばお前は電気イスにも座れず、銃で撃たれることもなく、その能力の研究のために麻酔をせずに解剖されるぞ。」
「・・・。」
痛いのは嫌だ。暴力はNG。やるしかないだろう。
「わかった。引き受けよう。」
「極秘釈放の条件として爆発する首輪と小型無線機をつけてもらう。この首輪の爆発条件は強い衝撃をうけたとき、見張りの者が持つスイッチが押された時、つまり指示以外の行動をとった時 の二つだ。」
「殺人対象の詳細情報はまた来た時に伝える。釈放期間は一週間、その間に対象を殺せ。できるか?」
「・・・、わかった。」
「よし、それとその汚い紫のポンチョも着替えさせておけ」「わかりました」
番人が敬礼し応える。やはり社会的地位は高いらしい。まぁ俺に会いに来れただけでもそれは確定していたのだが。
この服も最初は意地を張って脱がなかったが今じゃ服なんてどうでもよかった。どうせ死ぬならもう一度だけ太陽を拝んでおきたい。
「一つ質問してもいいか?」 「なんだ?」
「対象人物の名前は?」 「・・・、@@@@だ。」「わかった。」

「唐澤貴洋殺す」
俺は解脱を果たしたグルとして、最後のニルヴァ―ニングを開始した。