「司法の神」 (27)

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1 3レス 2016/08/13(土) 00:12:54 ID:PPvOuA4o

本人も自覚していたことだ。
そうだよ。当職は無能弁護士だよ。
くだらない資料を前に唐澤は一人悩む。事務所の皆は気を使ってくれているのが余計につらい。
そんな中、明確に通知を突きつけてくれる判決はさすが司法といったところだ。
「裁判費用は原告が負担」「訴えを却下する」etc…
炎上だけならともかく、普通に裁判に勝てない。着手金が貰えるから仕事人としては良いのかもしれないが、それでも嫌という程弁護士としての実力のなさを突きつけられる。
そういえば明日も裁判があった。
もう藁にでも縋りたい気分だ。いっそのこと、縋ってみるとするか。

と、いうのも、先々日、新人の山本がまたくだらないネタを仕入れてきたのだ。
雑学の類が好きなのだろう。入社当時も星の王子様がどうのとか、言っていたっけ。
彼よりも、そのくだらないネタである。
曰く、「夜中の0時に、一人で、ギリシャで作られた天秤に海水を入れて釣り合わせると司法の神、なんて奴がでてきていいことをしてくれるらしいっすよ」
だそうだ。
司法の神など、誰だって会ってみたい。負け続きの弁護士なら尚更である。

まるで遠足の準備をする小学生のようだな、などと思っていた。そういえば、幼い頃は深夜に剃刀を咥えていたような気もする。