476 啓蒙パンデミック 2020/04/21(火) 20:48:10.92 ID:jO7kA8cC0
――某法律事務所前
昼下がり、いつもより静寂に包まれてたはずの通りに、お互いマスクを着けた二人の男の喧騒がこだました
片方は教徒含めた不審者からが来ないよう保全目的て事務所に勤める原田
もう片方はかつて唐澤貴洋の動画に物申すためデモを行った青年である
彼は旧事務所のアカウントに投稿されてた文章に憤りを覚え一人で乗り込もうとしたのだ
「…ですからぁ!唐澤さん独自の計算で100万人と言われてもそれに対する具体的なソースがないから妄言にしか見えないんですよ!第一!死者の比較云々も各自治体の広報にしっかり載ってるはずで……!」
「うるせーよレイシスト!あのバカが何書いたかなんて一々確認なんかするかよタダでさえ相手にすんの疲れんのによ!」
「あなたそれでも同僚ですか!?唐澤さんが一部の人に多大な影響力を持っているのは存じてるはずですよね?ちゃんと手綱をとらないのは業務放棄してるようなものでは!?」
「あああああああああああ!もう!!早くデブ来いよ!何回コールしてると思ってんだよ!このうるせえやつとっとと追い出せよ!」
そんな口論と呼ぶのもどこか幼稚な二人の間に作業服を着た男が割って入る
どうやら運送業者のもので、楽天から大型の着払い便が届いたとのこと
「唐澤さんの事務所でよろしかったですかなぁ❓私、PCR検査キット述べ300万円分、201キットをデリバリしに来ました❤」
「知るかよ!こっちはそんなの頼んでねえよ!」
「!?……PCR検査の対応の遅さを述べていましたが自腹を切って堂々と対応するとは!」
「アイツがそんな事するかよ!小遣い全部婚活と飲み代に消える業の塊だぞ!あああもう!唐澤で領収書切っとけ!」
「了解しました✨」
狭い事務所内に検査キットの詰まった箱が運び込まれる
中途半端に余った1個のみ机の上にポンと置かれ運送業者は去っていった
支払いはとりあえず金庫にある小遣いと書かれた封筒で済ませた
しかし息をつかせぬまま新たに来客が訪れた
それも今度は大量に、まるでここに来れば命が助かると言わんばかりの表情で
「ここかい?PCR検査とか言うのしてくれるのは?」「SNにうつされたかもなりを!早く検査しろ!」「ココが乱交部屋とLINEでやり取りしたんですけどぉ……」
「ここは病院じゃねえよ!お前らどっから集まってきたんだよ!」
そう言うと皆一様にそれぞれやってきた経路を説明する
グーグルマップから来た者、ツイッターのデマに乗せられた者とそれぞれ口々に言うが頭に入ってこない
仕方ないのでできる限り清潔な衣装に身を包み事務所内で検査を行うことにした