582 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2021/05/20(木) 11:42:09.53 ID:Fni8KpMk0
18年後――
「おい、君あの土地事件の判決今日だろ。どうだったんだ?」
そう聞かれた小太りの男はバツが悪そうに返す。
「い、いま確認しようとしてたところナリ!裁判所に電話してきくナリ!」
それを聞いた上司らしき男の機嫌は悪くなる。
「まったく、自分の担当事件なんだから他人に言われる前に把握すべきじゃないのかね
無能にも困ったものだよ」
小太りの男は下を向いたまま答えない。
「電話かけるんだろ?早くしろよ!」
「わ、わかったナリ」
「おいおいボギー1、今日はだいぶ絞られてたな。
まあ、落ち込むこたぁねーよ。どうだ、いっぱい呑みに行くか?」
小太りの同僚だろうか、髭面のサングラスをかけた男がボギー1と呼ばれた男をなぐさめる。
「そんな配慮いらないナリ!!」
「そんな言い方するこたねーだろ。せっかく誘ってやったのによお。
そういえば、今日所長に詰められてた事件、判決どうだったんだ?」
ボギー1の顔が曇る。
「ん?どうしたんだ?そんな難しい事件じゃなかっただろ?一部認容とられたか?まあそういうこともあるよ」
「・・・けナリ!」
「あ?なんだって?」
「ボロ負けナリ!相手の請求が全部通ったナリよ!」
「ええ!?そんなことあるのかよ?たまげたなぁ・・・
で、それ所長には報告したのか?」
「報告したらまた無能呼ばわりされるナリ!」
「おいおい、こういうのはさっさと報告してケツを拭いてもらったほうが」
「うるさいナリ!当職は弁護士ナリ!お前らとは違うナリ!
相手の弁護士が何か不正したに決まっているナリ!そいつのせいナリ!
もう帰ってアイス食べるナリ!」
ボギー1はそう叫ぶと手ぶらのままピョコピョコと外に飛び出していってしまった。
残されたサングラスはひとり残された事務所で呆れたようにつぶやく。
「いやいや、俺、というかここにいる奴らは事務員除いてみんな弁護士だぜ」
(続く)