585 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2021/05/20(木) 11:44:19.63 ID:Fni8KpMk0
黒い服に見を包んだ男性が自転車を漕いでいる。警察がものものしく規制線を張っているその前で降りて、規制線をくぐる。
「やあえっと・・・」
「古畑さん!お疲れ様です!」
制服の警官は古畑と呼んだ男に敬礼する。
「いや、ここまで出てるんだよ、君の名前」
そう言いながら喉のあたりを指す。
警官が名前を言うとそれを制する。
「ちょっと待った。こういうのは自分で思い出したいんだ。ア行から始まる?」
「いえ!違います!」
警官はニコニコしながら答える。
「カ行?」
「いえ!」
「サ行?」
「違います!」
「ああ、もうお手上げだ。なんだっけ」
「向島です!」
「ああそうだったね、覚えておくよ」
「ありがとうございます!」
二人がそんなやり取りをしているとハゲ散らかした男がやってくる。
「んもう古畑さん、遅かったじゃないですか!」
「ああ、ごめん好きな女優が結婚してそのニュースを見ていて」
「そんなのいいからはやくきてくださいよぉ!」
そう騒ぐ男をなだめながら事件の概要を聞いているようだ。
「ああそうだ今泉くん、喉が乾いたからそのへんの自販機で何か冷たいもの買ってきて」
そういいながら古畑は今泉と呼んだ男に千円札を渡す。
「お茶でもジュースでもなんでもいいから。君も好きなのを買いなさい。それからそこにいる、えっと」
「向島です」
「向島くんにも何か一つ。それからお釣りはくすねちゃだめだよ。後で返すこと」
「そんなあ、僕は古畑さんのパシリじゃないんですよ」
「いいからはやく。ゴー」
古畑は今泉のデコをぱしんと叩く。
「ああもぅ、わかりましたよ!」
(続く)