586 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2021/05/20(木) 11:45:47.50 ID:Fni8KpMk0
事務所の中、応接用だろうか、立派なソファにボギー1が座っている。
警官達が慌ただしく出入りをし、現場の保全と鑑識をしているようだ。
サングラスの男の死体はまだ机に突っ伏したまま残っていた。
「いやあこれはひどい」
古畑は死体を一瞥するとすぐに目をそらす。どうやら死体が苦手なようだ。
ボギー1を見つけると声をかける。
「ああ、どうも夜分遅くにすみません。古畑と申します。
あなたが第一発見者の」
「当職ナリ」
ボギー1は名前を答えずに一人称を答えた。しかし古畑はうろたえることはない。
「お名前は今泉の方から伺っております。ああ、今泉というのは、毛が薄くて落ち着きのない男なんですが」
「先ほど話したナリ。無能そうなやつだったナリ!いろいろ聞かれたナリ。これは事情聴取ナリか?
当職は弁護士ナリ!お前らとは違うナリ!」
「いえいえ、これはあくまで形式的なものですのでお気になさらないでください」
古畑はボギー1をなだめる。
「お手数ですがもう一度死体発見時のことをお伺いしてもよろしいですか?」
「だからそれはさっきも今泉ってやつに説明したナリ!」
「あくまで形式的なものですから。簡潔にで構いませんので」
ボギー1は顔を真っ赤にしているが、まっすぐ見つめてくる古畑の目に観念したのか話し始めた。
「状況も何も事務所に入ったら死んでるのを見つけたナリ!だから警察呼んだナリ!」
「なんで死んでるとわかったんですか?まずは救急車を呼ぼうとは」
「見ればわかるナリ!頭が潰れて脳みそ出てるナリよ?生きてるわけないナリ!」
「なるほど確かにそうですね。では、なぜ夜に事務所に来たんですか?」
「残業をしていて、途中夕食を食べにいっていたナリ!」
「そうですかわかりました。ちなみに夕食はなにを?」
「これは尋問ナリか?」
「いえいえそういうわけではありません。単なる世間話だと思っていただければ」
「不愉快ナリ!」
「それは大変失礼いたしました」
そんな会話をしていると、今泉が帰ってきた。
(続く)