590 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2021/05/20(木) 11:49:51.92 ID:Fni8KpMk0
「この十円玉があなたのだという根拠はあります。
十円玉にはすべて、このようにあなたの顔写真が貼ってある」
古畑は持っていた十円玉をクルリと回転させて別面を見せる。
「あなたは自分が使うコインはこのようにする習性があると聞いています。
そして念の為、指紋の採取もお願いしています。証拠品を事件現場のゴミ箱に捨てるような犯人だ、指紋も残っているでしょう」
古畑がそこまで言うとボギー1は観念したようだ。
「・・・はあ・・・そうナリよ。全部当職がやったナリ。
弟は燃料棒で殴り殺し、当職に恥をかかせた弁護士は核ミサイルで撃ち殺し、そしてそのことに気がついたあいつはコンビニでアイスを買ったときのビニール袋に十円玉を詰めて殴り殺したナリ」
「・・・んふう、ありがとうございます。しかしなぜまた弟さんを?」
「・・・当職は毎日、通学路を歩くかなちゃんを窓から眺めるのが趣味だったナリ。
でもある日、弟がカーテンを設置したナリ。
邪魔ナリあのカーテン。あれのおかげで、かなちゃん見えなくなったナリ。
だからポアを。これが動機ナリかね?」
そういうとボギー1はクスリと笑う。それを聞いた古畑は呆れたように首をふると、ボギー1に平手打ちを浴びせた。
驚いたように古畑を見つめる。
「それで、女弁護士の件は、どうして普通に殺さなかったんですか?なぜ核ミサイルなんかを?」
「味わってみたかったナリよ。核ミサイルを撃ち込む指導者がどんな気分ナリかってね。
指導者の鑑ナリな?」
それを聞いた古畑は呆れたようにクスリと笑う。
「最後の事件は全部言われたとおりナリ。新聞が見つかるのは誤算だったナリね」
ボギー1がそういうとしばし無言のときが流れる。
「えー、それでは行きましょうか。署の方に」
ボギー1は大人しく手錠をかけられる。
「いい弁護士なるナリね。司法試験を受けてほしいナリ。なるべく早くナリね」
「んふぅ、それはなぜ?」
「決まってるナリ!当職の弁護をするナリ!」
そういうと、ボギー1は胸元のダンボバッジを投げ捨てると、警官と一緒に出ていくのであった。
(終わり)