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747 名古屋地方裁判所令和2年わ1189号判決文 2022/04/09(土) 12:01:29.07 ID:6xWtALUp0

(量刑の理由)
本件は,インターネット上の宗教団体を称して特定の人物への誹謗中傷や嫌がらせ行為を行う甲会の構成員をしていた被告人が,甲会と対立する人物を攻撃するために行った威力業務妨害,従前より確執のあった実母に暴行を加え大けがを負わせた障害,八つ当たりのために実母の居住するビルのエレベータのドアを損傷させた建造物損壊の事案である。
 第1ないし第3の威力業務妨害の点については,犯行の1か月ほど前から他の甲会構成員と連絡を取り合った上で,方法を検討しながら行ったきわめて計画的な事案である上,現に被害自治体は臨時警戒を余儀なくされる等の損害を受けるなど結果は重大である。特に第3の被害自治体はホームページへのアクセス制限を行うためにそれなりの規模の改修を余儀なくされるなど,事後の影響も非常に大きい。
第4の傷害については,Iの言動がきっかけとはいえ,相当な回数にわたって金属バットで殴打した挙句,追い打ちと言わんばかりに殺虫剤を噴霧するなど,極めて苛烈な暴行を加えており,幸い一命をとりとめたことを考慮しても同種事件の中でも悪質な部類に入ると言わざるを得ない。
第5の建造物損壊についても,検察官の言う逃走経路の確保という点は認められないものの,激情に身を任せた結果重大な結果が発生していると言わざるを得ず,修繕にも多額の費用が必要になったのであって,被害結果はかなり大きい。
これらの事情を考慮すると,直近2か月でいずれの犯行に及んだように被告人は自身のストレスや憤懣を容易に他人への加害によって発散しようとする傾向がみられ,何れの罪に対する犯罪傾向は深いものがありつつあるということもあながち否定できず,被告人に対しては一定期間刑事施設内での処遇を図るべきということも言える。

他方,被告人には前科前歴がなく本件までは学業と仕事に打ち込んでいたこと,第1ないし3の被害自治体に謝罪文を送付したうえ,少額ではあるが贖罪寄付を行ったこと,過分に考慮できないものの,高齢のKやおば,被告人の上司が情状証人として出廷し被告人を指導する旨証言したこと,第4の犯行の2日後に自ら出頭しており,Dの存在を含めとほぼすべてを自白しており自首が成立することがあげられる。また、過分な評価はできないが,被告人の不遇な成育歴が第4の犯行に影響していることも量刑上考慮しなければならない。

そこで以上の諸事情を考慮すると,被告人については社会内での更生が不可能であるとはいいがたく,主文の刑が相当であると判断した。