839 名前が出りゅ!出りゅよ! 2022/07/19(火) 01:30:28.07 ID:SCRUc9eUI
倉庫の扉の隙間に鎮座するそれを覗き込むと
トゲトゲした人の髪みたいなものがさらに伸びていた。
薄気味悪いことこの上ない。引っこ抜いてやろうかと
一瞬脳裏によぎったのだがそれはすぐに能の片隅に追いやられた。
同僚と会計士の唐澤洋先生が連れ立って歩いてきたからだ。
俺はその時なぜか咄嗟に物陰に隠れてしまった、物陰から伺っていると
唐澤先生が同僚に謝辞を述べている、育ててくれてありがとう、収穫させてくれと。
植木鉢に植わっている髪の毛みたいなトゲトゲを
むんずと掴みおもむろに引き上げていく。
私は目を疑った、引っこ抜かれたのは人の首だった。
唐澤先生の面影を残す二重顎の無能そうな男の首が先生の手にぶら下がっていた。
そのクビが目を見開き首の切断面から触手のような物を伸ばし同僚の首を絞め始めた
もがく同僚をよそに唐澤洋は冷静だ。
同僚が動かなくなったのを確認するとその無能そうな首は
同僚の首と自分の首をすげ替えたのだ。鈍い音を立てて転がる同僚の首、不思議なことに血が出ない。
それを唐澤洋が鞄にしまい無能そうな男と話し始めた。
「まさか本当に滅多刺しにされて肉体を失うなんて思わなかったな
これに懲りたら無防備にならないことだ。」
「洋、もっと早く復活させることはできなかったのか
1ヶ月もかかるなんて聞いていない。それにもっとスマートな男の体がよかった。」
「貴洋!これは同じような体型の人間じゃないとできんのだ!贅沢言うな!
厚史はいまだに体格が合う人間が種を育ててくれず復活させることができんのだぞ!」
そんな話をしながら2人は夜の闇に紛れて消えてしまった。
その日以来同僚は行方不明だ。
同僚は忽然と姿を消してしまった。
会社も無断欠勤が続いたことで懲戒免職にしてこの件は終わってしまった。
だが俺はなぜ同僚が消えたか知っている
誰も信じないだろうが首から下を別な男に乗っ取られて今もどこかにいるのだ。