891 名前が出りゅ!出りゅよ! 2022/08/19(金) 03:06:28.31 ID:t5Rdzwe0I
事務所の机に向かい物思いに耽っていた時
不意に事務所の呼び鈴が鳴った。
一体誰だろうか、他の弁護士達はみんな出払っておりしばらく戻らない
山岡裕明が訝しみながらドアを開けると、そこには長野哲久が立っていた。
「君が八雲法律事務所代表の山岡裕明君か、突然の来訪で済まない。」
裕明は長野が発するそこはかとなく嫌な雰囲気を感じ取りつつ
思考を巡らせた。
静岡県の重鎮弁護士が一体自分に何の用なのかと。
コーヒーを用意し着席を促す。
世間話をしつつ自分が唐澤と組んだ事で殺害予告を受けた事
物凄い気味の悪い奴らに粘着されてる事などの話に移った。
ここまで有名なるとは悪名とは無名に勝るというのは事実なのだと
思いつつ本題を話すように切り出した。
「長野さん、くだらない話はそろそろやめにしませんか?
そろそろ本題に入りましょう、私よりも実績も地位もあるあなたが
なぜ態々私に会いに?」
「実は息子が、やらかしましてね。
うちの事務所に所属したまま懲戒処分を出されたらうちの看板に傷がつく」
この狸親父、自分の息子の尻拭いを俺にやらせる気か。
「長野さん、うちじゃなくSteadinessじゃダメなんですか?
あそこも脛に傷がついた弁護士がいますよ?それも私以上の」
「いくら不肖の息子といえどあそこに所属はさせたくない
君も当事者なのでわかるだろ?」
裕明は徐にカップのコーヒーを持ち上げ
緩くなったコーヒーを飲み干した。
「長野さん、それじゃあ誠意を見せてもらおうか」裕明の急な態度の豹変に少し驚いたものの
長野哲久は冷静だ、嫌な笑みを浮かべている。
「百万円用意したので、これでうちの息子を引き取ってもらえませんかね?」