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911 名前が出りゅ!出りゅよ! 2022/09/05(月) 23:30:52.57 ID:lWqM6J1D0

 オレの名前は山岡、T大卒のエリート弁護士だ。
そんなオレは虎ノ門のとある雑居ビルの前でネクタイを締め直していた。
今日からここの法律事務所に入所するのだ。
インターホンを通して事務的で単調なやりとりを済ませたオレの目の前に小太りの男が現れる。
彼に奥へ通され、簡単な世間話を済ませたオレは早速業務について話そうするものの彼はそれを許さない。
面倒なので適当に相槌を打っているとそれに気づいたのかオレに質問を投げかけてきた。
「山岡くん、君はまじないというものを信じているかね?」
唐突な質問に驚いたオレは聞き返す。
「まじないというのは呪術的なアレですか?」
「そんな堅苦しいものではないナリ。受験前とかにするような願掛けに近いものの類ナリね。」
受験のときの願掛けなど不毛だ、実力のみが受験において価値を示す。オレはそうしてT大に行った。
しかし自分の上司になり得る人物にそんなつまらない事は言えない。
「ははぁ…まぁ神に縋りたい時というのはありますよね」
彼はおもむろに立ち上がりながら問いかけてくる。
「本気で、本気で願ったことはあるナリか?」
何を言っているんだ彼は。見通しの効かない一連の会話に苛立ちと不気味さを覚えてオレは黙った。
そんなオレをおかまいなしに彼は壁の機器を弄っている。空調かなにかを操作しているのかと思っていたオレは彼の行動の結果に呆然とした。
なんということだろう、オレの真正面にある本棚が横に平行移動したのだ。フリーズしたオレの思考回路を彼の声が再起動させる。
「山岡くん、こっちへ来るナリ」
言われるがままに向かう。
彼が扉を開くとそこには腕を後ろに縛られて猿ぐつわをつけられて回り続ける初老の男が居た。
「ほら、山岡くんナリ、挨拶しなさい。」
「こんにちは」
「えぇ…どうも」
男はつぶやく。
「彼は一体…?」
「当職の父ナリ」
謎が謎を呼ぶ、彼は一体なにをしてどうして息子は奇行を止めないのか。
なぜこんな部屋があるのか。オレの脳内はパンク寸前であった。
「不思議、という顔をしているナリね。父は今『自分が回り続けなければ世界が滅びる』と信じ込んでいるナリ。」
「それは…なにかしらの病気ということですか?」