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912 名前が出りゅ!出りゅよ! 2022/09/05(月) 23:31:40.40 ID:lWqM6J1D0

「試してみるナリか?」
彼はそうつぶやくように言うとオレのは返答も待たずに回り続ける男を両手で止めた。
とたんにビルが揺れ始めた、すぐさま彼は手を離す。
男が回り始めると共に揺れは収まった。
「いつから回っているのですか…?」
「弟が自殺した30年弱前からナリ」
彼はなつかしむように語りはじめた。
「これは我が家が字をかえようが受け継がれてきた伝統儀式ナリ
祖父の子が役目を果たし、父の子がそれを受け継ぎと代々子供におしつけるナリ」
「しかし弟さんは自殺を図った」
閃いたようにオレが口を挟む。
「そうナリ、しかしこれは想定内の事
万が一のことを含めて毎朝父は子から受け継ぐ一歩手前まで儀式を行うナリ」
なるほどだから彼は使命を全うできる。しかしその儀式とは何なのだろうか。
オレの思考を見透かしたように彼は言った。
「挨拶をさせるナリよ」
はっと思い返したオレは出口目指して走り始める。まずい、このままではオレが回ることになる。
しかし遅かった、後ろで男のうめき声が聞こえると共にオレの体は完全に停止した。
「父の体はもう限界だったナリ」ナイフでめった刺しにでもしたのだろうか。返り血に染まる彼が近づく。
「しかし子供はそう簡単に生まれない、だから発想の転換ナリ」自分の体に彼が拘束器具をつけ始める。
不思議なことに今自分がされていることにまったく疑問がわかない。それどころかどこからか使命感に燃え始めていた。
「使命感と正義の心を宿す我が家には前例のないことだったナリから成功して安心しているナリよ」
思考が曖昧になる。なぜ自分がここにいるのか、自分は誰だったのか、T大とはなにか、目の前の小太りの男はいったい誰であったか。
「はっきり言って当家の罪のない人間に使命を押し付ける今は異常だ。今の君に当職がなっていたことを思うと身が震える。」
そうだ!回るんだ!回り続けなければいけない!そうして世界を救うんだ!
「おっとここでは回らないでくれナリ、運ぶナリよ」
回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!
回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!
回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!回らなければ!
「貴職との出会いに感謝」
そう彼はつぶやくと彼は二組の人事書類を片手に重い扉を閉じた。