ファイアーエムブレム 炎上の軌跡 (12)

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5 がん患者さん (sage) 2016/08/13(土) 23:27:55.57 ID:2rKlITwJ0

「好きなら好きで良いじゃない、そんな面倒くさい事考えてないで。自分の気持ちに素直になりなさいな…私はアイツの事は上官として信用はしてないけど、一人の男としては友達を任せるくらいに信頼はしてるから。」
提督にはきつく当たる事も多い霞だが、決して提督の事が嫌いな訳ではない。それなりの理由がある。
なんでも前世で上層部からの理不尽な叱責のせいで彼女達18駆の司令が割腹自殺してしまったらしいのだ。その人はかつて私の艦長をしていた時もあったのでその人の事は私も良く知っている。非業の死を遂げたと聞いた時はショックだった。
その事が彼女の心に暗い影を落としている原因なのは間違い無いだろう。ちょうど私の名誉が戦後に貶められたのと同じように。
そんな事があったから彼女は提督にはそんな事になってほしくない。そんな感情があるからつい厳しい言葉を提督に掛けてしまうのだろう。
現に以前提督が部隊の損害から海域を途中撤退した時、上の連中が提督の陰口を言っていると聞いた彼女が自分の事の様に怒っていた事を私は覚えている。

「…信用と信頼…か…」
「…ガラにも無い事言ったわ…不愉快だったら忘れて。」
「いえ、少し気持ちが楽になったわ。」
「そう…良かった。」
満足げに霞は呟いた。
「だったら今からでもアイツの所に行ってアンタの思いを伝えてきなさいよ。」
「えっ?今から!?」
「兵は拙速を尊ぶってかの孫子も言ってるわ。グズグズしてアイツを誰かに寝取られたらそれでお終いよ。」
「わ、分かったわ…行ってくる。」
「また途中撤退なんてしてきたりしたら私がアンタの事を雷撃処分するから覚悟しときなさいよ。」
恐ろしい事を言っているが顔は笑っている。不器用な彼女なりの私へのエールなのだろう。
「なんならそのままアイツと夜戦に突入してきても良いわよ。アンタの同室の雪風には私から言っておくから。」
「茶化さないでよ…」
と、霞に見送られて私は提督のいる執務室に進撃した。