51 野に咲く名無し@転載禁止 ( (主)) 2024/01/27 (土) 19:07:48.495 ID:9djK1oyjv
技術革新論
南港商人組合 編
人間が生きていくために必要なものは何か。それは熱である。我々の社会の発展の歴史は熱を貯める方法の歴史にほかならない。たとえば炭について考えよう。炭は伐った木を窯に入れて焼いて作るものだ。炭になる前の木よりも、炭は熱く、長く純粋に燃えるだろう。これは炎の熱を木が吸収して炭になったのだ。同じように炎によって魚の脂肪は油になる。脂肪よりも油はよく燃えるだろう。人間はこのように熱を集約して文明をつくったのだ。言い換えれば技術の革新とは熱の集約技術の革新と言い換えても過言ではないだろう。
魔法についても同様のことが言える。魔法使いは魔石を使うことによって魔法を使うのである。魔石は大量の魔鉱石と一つの原石から作られると聞いている。この魔鉱石は鉱山から産出する。どうやってできるのかは定かではないが、普通の石が鉱山の奥深くで地熱を吸って魔鉱石になると伝えられている。これもまた、地熱という薄く広く存在する熱を魔石という小さな容器に貯蔵している一つの技術の結晶と考えてよいだろう。
さて、こう考えると当然魔石からさらに熱を集約化したくなるのが人間の性で、これには大変な努力が傾けられてきたといわれている。しかし、今のところ我々の知る限りそのような試みはすべて巨大な爆発を引き起こすのみでうまくいっていない。本書はこの試みを主軸に据え、我々の文明における技術の革新の歴史をふりかえることを目的として書かれている。